輻射熱を使った暖房機器にはどんなものがある?輻射のメリットとは?
輻射式冷暖房と聞いて、目新しいイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
しかし、輻射熱で温める暖房器具は、決して珍しいものではありません。
今回は「輻射熱とはどんなものか?」「輻射式暖房にはどのようなものがあるか?」について解説します。
従来の製品を知ることで「輻射熱」がどのようなものかイメージしやすくなるのではないでしょうか。
輻射熱とは
輻射(放射)とは、熱の伝わり方の一つです。
主に暖房器具には、3つの熱の伝わり方があります。
- 輻射式
- 対流式
- 伝導式
輻射は、熱を持った物体が遠赤外線を出すことを指し、輻射熱は、遠赤外線を受け取って感じられる熱を指します。
この仕組みを利用したものが、輻射式暖房です。
輻射式暖房は、直接的に人へ熱を送るのではなく、壁や家具から熱を与えます。
わかりやすい例で言うと、太陽です。
太陽の熱は6,000度と言われていますが、太陽熱がそのまま地球を温めているわけではありません。
太陽から輻射される遠赤外線が空間を伝わり、物体に当たることで熱が発生しています。
つまり、輻射熱は、より自然に近い暖かさを感じられる熱の伝わり方なのです。
対流式暖房との違い
対流式は、温かい空気を室内に対流させる暖房です。
代表的な暖房器具では、エアコンが対流式暖房になります。
対流式は温かい空気を直接室内に送るため、室内を暖めるスピードは速いです。
しかし、温風の吹き出し口が天井近くにあるため、天井と床面の温度差が生じてしまいます。
また、風が直接体にあたったり、ホコリが舞ってしまったり、肌や喉への影響もデメリットの一つです。
伝導式暖房との違い
伝導式は、身体に直接熱を伝えるタイプの暖房です。
代表的な暖房器具では、ホットカーペットが伝導式暖房になります。
ダイレクトに熱を伝えるため、身体が温まるスピードは速いです。
しかし、密着していないと温まらないので、部屋全体を暖めるのには向いていません。
快適さを求めるなら輻射熱暖房
輻射熱暖房の大きなメリットは、太陽のような自然な暖かさです。
機械的な温かさではなく、部屋全体から快適な温度を感じられるでしょう。
さらに輻射熱暖房には、快適さを感じられる3つのメリットがあります。
- 静か
- 無風
- 温度変化がゆるやか
なぜ輻射熱暖房なら快適に過ごせるのか、それぞれの理由を解説します。
静か
輻射熱暖房は、とても音が静かです。
部屋全体を温めるため、対流式のような送風音は出ません。
完全無音ではありませんが、就寝時でも気にならないほどの稼働音です。
無風
輻射熱暖房は、壁や物質から温める仕組みなので、風による影響はありません。
風が直接身体に当たってしまうと、乾燥肌の原因になります。
また、風によってホコリが舞ってしまうため、喉にも影響を与えかねません。
輻射熱暖房は、風を感じることなく、ゆっくり自然に室内を暖めてくれます。
乾燥肌の原因に関しては、以下の記事でも解説しているので、参考にしてください。
温度変化がゆるやか
対流式・伝導式、どちらとも身体や室内を暖めるスピードは速いです。
メリットではあるものの、急激に温度が変化してしまうデメリットとも言えるでしょう。
急激な温度変化は、血圧を急激に上昇したり低下させる、ヒートショックの原因になります。
輻射熱暖房は、ゆるやかに暖めてくれるので、急激な温度変化による身体への影響はありません。
輻射熱暖房機器のデメリット
輻射熱暖房機器には、デメリットもあります。
人によっては、輻射熱暖房機器では足りないという方もいるかもしれません。
主なデメリットは、以下の2つです。
- 暖まるまで時間がかかる
- 暖房機器によっては部屋全体が暖まらない
なぜこれらのデメリットが発生してしまうのか、以下で解説します。
また、輻射式冷暖房のメリット・デメリットについては、以下記事でも解説しているので、参考にしてください。
暖まるまで時間がかかる
輻射熱暖房機器の特徴であるゆるやかな温度変化は、メリットであると同時にデメリットとも言えます。
寒い時期は、家に帰ってきてすぐに温まりたい方が多いでしょう。
このような場合には、輻射熱暖房機器は不向きです。
輻射熱暖房機器は、壁や物からじょじょに室内を暖める仕組みなので、対流式や伝導式のようなスピードはありません。
ものによって部屋全体は暖まりにくい
輻射熱暖房機器と一重に言っても、さまざまな機器があります。
たとえば、日本人に馴染みのある「こたつ」も輻射式です。
当然、こたつは部屋全体を暖められる暖房機器ではありません。
このように、同じ輻射熱を使った暖房機器でも、部屋全体を暖められるものと暖められないものに分かれます。
輻射熱暖房機器のデメリットの対処法
輻射熱暖房機器のデメリットは、対流式や伝導式を同時に使うことで対処できます。
たとえば、輻射熱暖房機器と対流式のエアコンを同時に使う方法です。
室内を暖めるスピードの速いエアコンを使えば、輻射熱暖房機器のデメリットを補えます。
輻射式・対流式・伝導式と、大きく分けて暖房機器には3つありますが、どれが優れているというわけではありません。
それぞれを組み合わせ、デメリットを補うことで、最大限のパフォーマンスを発揮します。
輻射熱暖房機器にはどんなものがある?
輻射熱を使った暖房機器には、さまざまなものがあります。
以下でそれぞれの機器を紹介するので、輻射熱暖房機器を利用してみたい方は、ぜひ参考にしてください。
パネルヒーター
パネルヒーターは、パネルを暖めて熱を伝える暖房機器です。
パネルが暖まる仕組みではありますが、火事になったり火傷になるほどの熱を帯びることはありません。
サイズによって効果は異なりますが、コンパクトで局所的に温めるものが多いです。
輻射式ではありますが、わずかな対流効果もあります。
カーボンヒーター
カーボンヒーターは、主に「炭素(カーボン)」を利用している暖房器具です。
数ある輻射式ヒーターのなかでも、立ち上がりが速く、スピード性に優れています。
カーボンから多くの遠赤外線が輻射(放出)され、熱効率が良いのも特徴。
しかし、比較的局所的に暖めるものが多いので、広範囲には向いていません。
オイルヒーター
オイルヒーターは、オイルを加熱し、本体に熱を与え、空気を暖めていく暖房機器です。
空気の対流も利用しているため(自然対流)、輻射式と対流式どちらとも言えるでしょう。
オイルを温めなければいけないので立ち上がりまで時間はかかりますが、静かで快適な暖かさが続きます。
こたつ
こたつも、輻射熱を利用した暖房機器の一つです。
一見伝導式のようにも感じられますが、こたつの仕組みはテーブルの下から熱を輻射しています。
基本的に部屋全体を暖めることはできず、こたつに入っている部分のみしか温まりません。
しかし、布団で覆われているため、熱が長く続きます。
床暖房
床暖房の仕組みは、温かいお湯を床下に流し、お湯の熱を床面全体に広げることで輻射の効率を高めています。
さらに、温められた空気は上に上がる性質があるので、自然に空気の流れが上昇気流となり対流を生み出す仕組みです。
もちろん直接肌に触れれば暖かく感じるので、輻射・伝導・対流、すべての原理を利用した暖房機器と言えるでしょう。
部屋全体を暖めるにはある意味ベストの暖房機器の一つと言えますが、やや工事が大掛かりになることがあります。
輻射式冷暖房なら夏も冬も快適に
今回は輻射熱を利用した暖房機器を紹介しましたが、輻射式は夏も快適に過ごせる仕組みになっています。
ただし、当然ヒーターやこたつなどは暖めるだけの製品なので、夏場に使用しても効果は得られません。
弊社エコミナミで取り扱っているラジアンは、輻射式冷暖房機器です。
暑い夏でも、パネルが人体の熱を吸収し、快適な涼しさを作り出します。
風による影響もないので、冷えすぎてしまうデメリットもありません。
このように、輻射式冷暖房機器は冬場も夏場も活躍します。
また、ラジアンは他輻射式暖房機器のように、局所を温めるものではなく、部屋全体を温めたり冷やしたりできます。
ぜひ快適な暮らしのために、輻射式冷暖房機器をご検討ください。