コラム

輻射式冷暖房の賢い導入方法!トラブルを回避し最大の効果を発揮するために

輻射式冷暖房を導入するとき、一番大切なのは「設計」です。

どうすれば最高の快適空間を実現できるのか、特に冷房時の設計を中心にしっかりと検討しましょう。

冷房時の設計を中心に考えなければならない理由は、トラブルに発展するのは「冷房時」が多いからなのです。

輻射式冷暖房を導入し、より良い暮らしを徹底するには、基礎部分から理解しておきましょう。

そこで今回は、どのように家を設計するべきか?

どのように利用することで最大限の効果が発揮できるかを解説します。

 

 

輻射冷房はパネルに冷たい水を流して、室内にいる人やモノから冷輻射により熱を奪い、人を涼しく感じさせるシステムです。

ただ単に熱を奪うだけではなく、もう一つ、ラジアンには大きな機能があります。

それは、冷たいパネルの表面で室内にある湿気を結露の形で集めて室外に放出することです。

室内の湿気の減らし、カラッとしたさわやな空気に変えることで温度だけではなく湿度も調整して快適な室内環境を実現してくれます。

 

ここで気を付けなければならないのは、「パネル表面では結露させても、それ以外の場所では結露させない」ということなのです。

それは想定外の場所が結露してしまうと、カビの発生原因となったり、床材や壁材に使用されている木質部分にダメージを与えてしまったりすることがあるからです。

特に壁の内側の結露は発見できないことが多いので、しっかりとした対策が必要です。

 

壁内と中心とした配管結露を防ぐには効果的な断熱材の使用と、温度の低すぎる冷水を流さない、という2点が重要です。

断熱材は空気層を活用して断熱効果を高めるものが多いですが、例えば梁下などの狭い部分を通すときに断熱材をつぶしてしまい、空気の層がなくなってしまうと、想定した断熱効果を発揮できず、そこから結露が発生することがあります。

十分に気を付けましょう。

 

また壁のなかの結露防止対策も有効です。

屋外から無制限に水蒸気が入ってきてしまう環境だと、結露のリスクも高まりますので、防湿気密シートを使用したり、通気層により壁内の湿気を積極的に外に出す換気システムもあります。

結露防止の専門家に相談してみるのも良いでしょう。

ただ施行の手順が多くなると、建設費用がかさみますし、住宅の特性に合わせた結露対策がありますので、予算とも相談しながら、どのような結露対策を行うか専門家に相談してみると良いでしょう。

結露対策をしっかりしておけば、輻射式冷暖房のトラブルは起こりにくくなります。

事前にしっかり対策することがとても大切です。

輻射式冷暖房の効果を最大限にする方法

輻射式冷暖房の効果は流す冷温水の温度とパネルの面積で決まります。

ただ温度の高すぎる温水や低すぎる冷水を使用すると想定外のリスクが発生する可能性があるので、輻射パネルで効果を最大限にするには「パネルの面積をできるだけ広く確保する」という方法以外にはありません。

1台の熱源機で作られた冷温水がパネルの中を循環しているので、パネル面積が広ければ広いほど熱交換効率が上がり「快適で省エネな空間」が出来上がります。

そのため、設計段階でしっかりパネルの配置計画をしておかないと、十分な効果を得にくい設計になってしまうことがありますので、早めの検討がとても大切です。

広い面積確保したいとは思っていても、いろいろな理由でそれが実現できないこともありますよね。

その「実現できない理由」は、以下の2つであることが多いです。

  • パネルの枚数が増えて、初期費用が高くなる
  • あまりパネルが大きいと、インテリアとしてバランスが悪くなる

ということです。

 

こういった場合、私たちは以下の提案を行います。

「エアコンを併用しましょう」

「え~っ」という声が聞こえてきそうですが、少し話を聞いてください。

例えば輻射パネルだけで冷房負荷に対応する場合、どうしても真夏の最も負荷の高い時期をベースに設計します。

最近は猛暑日も多いので、オーバースペック気味に設計する必要が出てきます。

でも暖房の場合はそこまで必要なかったり、冷房でもピークの時期以外は1枚、2枚パネルの枚数が少なくても一定の効果が得られる場合もあります。

その差を埋めるためにエアコンを併用しましょう、という考え方です。

 

また室内にいる人数でも、冷房に必要な能力は変わってきます。

普段はご夫婦二人で生活しているけど、夏休みには子どもたちがそれぞれ孫を連れて遊びに来るので、その時期だけ10人以上が室内にいる、なんていう場合も輻射冷房だけでは賄いきれなくなる場合もあります。

人は体温が室温よりも高く、だいたい1時間に約80W程度発熱していると言われています。

10人いれば800W、5時間いれば4000Wで立派な暖房機器と同じくらいの暖房になってしまいます。

特に小さな子どもは動きも激しいので、もっと発熱する場合もあるでしょう。

こういった場合もエアコンを併用した方が、冷房効率が上がることが多々あります。

 

一般的に住宅を設計するときは間取りをどうするかが重要ですが、実はそれぞれの部屋の温熱環境を決めることは同じくらい重要です。

なぜならば、暮らしの快適性は温熱環境による場合が多いからです。

輻射式冷暖房で快適な暮らしを実現したい、と考えた場合は、少しでも早く設計者に相談して、人生の大部分を過ごす大切な場所で快適に暮らせるよう、ぜひ輻射式冷暖房に合わせた家づくりを考えてください。

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