コラム

2030年家はどうなっている?ワーキンググループから読み解く家の未来

これから先、10年後や20年後の未来の家について考えたことはありますか?

現在でも家の設備はどんどん進化しており、利便性の高い家が多くなっています。

そこで、今後の住宅はどのようになっていくのか、未来の家について考えてみましょう。

2030年はエネルギーの見直しが重要視されている

2030年はエネルギーの見直しが重要視されている

2030年に向けて、エネルギーの見直しが重要視されている傾向があります。

CO2削減対策も大きな課題となっており、冷暖房温度の適正化やテレワークの推進が掲げられているのです。

地球環境ワーキング・グループの報告書では、以下のように報告されています。

情報通信を活用したテレワークの推進や各種の交通対策など、インフラ整備を中心とする「社会システム」に係る各種のメニューも挙げられている。このほか、冷暖房温度の適正化等などライフスタイルに関わるメニューもいくつか取り上げられている

引用:地球環境ワーキング・グループ報告書 平成10年4月20日 – 内閣府

さらに、発電コストワーキンググループで、発電コストの試算をしたところ、2030年時点では太陽光発電のコストが原子力発電のコストを下回る結果と発表しました。

事業用太陽光の2030年における発電コストは、250kWの設備を政策支援なしで30年間稼働した場合、7円台後半となり、8円/kWhを切る水準まで低下し、各種電源で最安値となった。

引用:日経BP

これらのことにより、今後エネルギー政策に関して今後重要視されることは、以下の4つです。

  • 安全性
  • 安定供給
  • 経済効率性
  • 環境適合

このように、2030年以降の課題として、エネルギーに関する見直しが行われているのです。

2050年の目標「カーボンニュートラル」

2050年は、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。

菅内閣総理大臣は2020年10月26日の所信表明演説において、我が国が2050年にカーボンニュートラルを目指すことを宣言。

引用:エアコンディショナーの畳数目安、測定方法について

カーボンニュートラルというのは、温室効果ガスの排出と吸収でネットゼロを意味する概念です。

そのために「消費エネルギー量を削減するために、住宅の断熱性能に合った適切な規格のエアコンを選定できる環境が必要」という課題が挙げられています。

エネルギーの見直しから考えられる今後の冷暖房

日本の今後の計画を見ていくと、2030年以降を目標に、省エネを目指していることがわかります。

これらを満たすためには、エアコンでは難しいでしょう。

考えられる対策としては、エアコンのように多くのエネルギーを使ず、CO2を排出しない冷暖房設備です。

現在は空気を温めたり冷やしたりする冷暖房設備が主流ですが、今後、室内を温めたり冷やしたりする冷暖房設備が増えていくでしょう。

そのひとつの例が、輻射式冷暖房といえます。

今後、輻射式冷暖房は主流の冷暖房設備になっていくでしょう。

未来に向けて現在注目されている住宅設備

未来に向けて現在注目されている住宅設備

未来に向けて、エネルギーが少なく利便性の高い住宅設備が開発されています。

主なものは、以下の4つです。

  • 超高断熱住宅
  • 高気密住宅
  • ZEH(ゼッチ)
  • IoT

それぞれは、まだ主流になっているものではなく「未来の住宅設備」と感じられるものばかりです。

しかし、未来では、これらの住宅が当たり前になっているかもしれません。

それぞれがどのような設備なのか、解説します。

超高断熱住宅

現在、断熱性能の高い、超高断熱住宅が開発されています。

高断熱住宅というのは、断熱材を多く用いたり、断熱性の高い窓を採用したりして、断熱性能を高めた住宅のことです。

断熱性の高い家と低い家では、体感温度が大きく異なります。

超高断熱住宅であれば、夏の暑さや冬の寒さに影響されることなく、空調に頼り過ぎることなく生活できます。

冷暖房を極力使わないことで、光熱費を下げたり、CO2削減効果も期待できるでしょう。

高気密住宅

高気密住宅は、精度の高い建築資材や断熱材などを用いて、極力隙間を作らないようにしている家です。

気密性を保つことは、隙間風が入ってくるなど外気環境を防ぐ効果もあり、高断熱と合わせて作られることが多くあります。

しかし、気密性の高い住宅では「換気が気になる」という方もいるでしょう。

ただ、高気密であることは、換気をしないことではありません。

家にある換気設備が問題なく動いていれば、気密性が高いことでの換気による問題は起こらないと考えて良いでしょう。

ZEH(ゼッチ)

住宅が目指す未来として「ZEH」が、多く掲げられています。

ZEHとは、以下の略です。

  • Z……Zero
  • E……Energy
  • H……House

正確には「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」という意味があり、エネルギー消費量がゼロの住宅を指す言葉です。

この「ゼロ」というのは、完全に消費エネルギーをゼロにするという意味ではなく、年間に消費する正味エネルギー量がゼロ、つまりプラスマイナスゼロを指します。

ZEHで主に目標とされているのは、以下の3つ。

  • 断熱性
  • 省エネ
  • 創エネ

断熱性に関しては、超高断熱住宅が当てはまるでしょう。

省エネは、エネルギー消費をできるだけ少なくすること。

創エネは、太陽光発電などにより、エネルギーを創り出す考え方です。

経済産業省資源エネルギー庁では、2030年までにZEHの普及を目指す旨が発表されています。

建築物については、2020年までに新築公共建築物等で、2030年までに新築建築物の平均でZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を実現することを目指す。また、住宅については、2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の実現を目指す。

引用:経済産業省「エネルギー基本計画」

ZEHの定義や評価方法は、以下のように記されています。

・ZEHの「⾼断熱基準」を満たした上で、快適な室内空間を保ちながら、エネルギーを上 ⼿に使うためには、空調設備、換気設備、照明設備、給湯設備等の⾼効率化が重要

・躯体の⾼断熱化と設備の⾼効率化により、省エネ基準よりも20%以上の省エネをZEH 基準として設定

引用:経済産業省「ZEH普及に向けて〜これからの施策展開〜」

このように、これからの住宅にZEHは欠かせない要素となってくるでしょう。

太陽光発電や高断熱住宅も、今後当たり前のようになると考えられます。

IoT

現在、未来の住宅として注目されているのがIoT住宅です。

IoTとは、Internet of Thingsの略で「モノのインターネット」という意味があります。

つまり、モノとインターネットがつながることで、暮らしをより快適にしていくという考え方です。

IoT住宅の例として、以下のようなものがあります。

  • 朝自動でカーテンが開く
  • 人の体感を感知して部屋の温度を調節
  • 体調に合わせた料理レシピを提案

まさに多くの人が考える未来の家の姿ではないでしょうか。

しかし、これらの開発も現在進められているのです。

漫画や映画のなかでみた、利便性の高い暮らしが、いつか当たり前の生活になっていくでしょう。

輻射式冷暖房は未来に近い冷暖房設備といえる

輻射式冷暖房は未来に近い冷暖房設備といえる

未来の住宅の冷暖房設備として近いものが、輻射式冷暖房です。

輻射式冷暖房は、エアコンのように空気を温めたり冷やしたりするものではなく、熱伝導を使って室温を変化させます。

省エネ効果も高く、Co2を発生させないことから、最も未来に近い冷暖房設備と言っても過言ではありません。

現在は、冷暖房設備といえばエアコンが主流ですが、エネルギーの見直しがされているこれからの時代、輻射式冷暖房が主流になっていくのではないでしょうか。

いつか来る未来ではなく、今から最新の冷暖房設備を取り入れることも、検討してみてください。

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