冷暖房設備の歴史と最新の冷暖房設備の利便性
冷暖房の歴史をご存知でしょうか?
人は昔からさまざまな工夫をこらして暮らしてきました。
昔の冷暖房を知ることで、現在の冷暖房設備がどれほど便利なものなのか、利便性や進化を感じられるでしょう。
今回は、主に冷房と暖房、そしてエアコンの歴史と、3つに分けて解説します。
冷房の歴史
人は火を扱えるようになってから暖さをとる工夫をこらしてきましたが、暑さに関しては自然の涼しさに頼る他ありませんでした。
「昔の人々がどのように暑さを乗り越えてきたのか」という調査では、以下のようなものが発見されています。
- 古代エジプト……壺に水を入れて奴隷が大きなうちわで扇ぐ
- 紀元33年ローマポンペイハウス劇場……客席に水路を作って香水で香りをつけた水を流す
- ローマ皇帝バリウス・アビタス……邸宅庭に雪の山を築き、吹き抜ける冷風を冷房として活用
このように、昔は自然の涼しさを活用していました。
しかし、1880年あたりからは氷を使って冷風を送風する「氷冷房」や「冷凍機」が開発され、少しずつ冷房としての原型ができてきます。
そして1906年、冷房の父と呼ばれる『ウィリス・キャリア』が現代の冷房用機器を発明しました。
日本においても、1644年あたりまでは氷を利用した方法が主で、1773年に雪や氷を使って部屋を冷やしたことが、日本の冷房の始まりと言われています。
暖房の歴史
暖房の歴史の前に、暖房にはどんなものがあるか簡単に解説しておきます。
暖房には、大きく分けると4つがあるのです。
- 個別暖房……室内にストーブなどを個別に設置する方式
- 中央暖房……ボイラや温風炉で蒸気や温水、温風をつくり室内に分配する方式
- 直接暖房……室内に放熱器を設置する方式
- 間接暖房……室外で熱風・温風をつくり室内に送風する方式
ただ、これらの暖房は、技術が進化してからの話です。
暖房の起源は、火を使うようになった原始時代からと言われています。
その次に生まれたのが、床下暖房です。
もちろん電気を使ったものではなく、当時は燃焼ガスを床に通すという方法で床下暖房とされていました。
1800年代後半あたりからは、アメリカで鋳鉄製ボイラーが製造され、このときをきっかけに暖房技術が発展していくのです。
日本における暖房の歴史は、以下のようになります。
- 奈良時代……火舎(日本最古の火鉢)
- 室町時代……こたつ・あんか
- 鎌倉時代……火鉢
- 江戸時代……火鉢
- 明治時代……ストープ
- 大正から昭和にかけて……石油・ガス・電気ストーブ等
- 第二次世界大戦後……建物の断熱化や気密化の向上と共にストーブや暖炉が普及
- オイルショック後……暖房機器の増加
エアコンの歴史
現代では、冷暖房設備というと、エアコンが主流となっているでしょう。
エアコンがどのように生まれ、どのように普及、進化していったのか解説します。
日本国内でエアコンが開発されたのは、1934年、ダイキンの前身である大阪金属工業が開発したミフジレレーターと言われています。
しかし、当時は高価であったため、少数の劇場や事務所、電車などでしか使われていませんでした。
一般家庭に普及しはじめたのは1960年頃からで、丁度この頃に冷房と暖房が切り替えられるヒートポンプ式が発売されています。
エアコンが普及しはじめると、次に課題となったのは消費エネルギーです。
消費エネルギーが激増したことから、現在でもよく使われる「省エネ」という言葉が生まれ、1974年頃には省電力型のエアコンが多く開発・販売されるようになりました。
1977年以降は、ICやマイコンによる制御機能が搭載されたエアコンが販売されるようになっていきます。
1980年からは建築基準法が改正され、同時に住宅建築に「断熱」という言葉が生まれました。
省エネ法と言われる建築基準法の改正が行われたのも、この頃です。
省エネ法とは
「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(以下「省エネ法」という。)は、石油危機を契機として昭和54年に制定された法律であり、「内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保に資するため、工場等、輸送、建築物及び機械器具等についてのエネルギーの使用の合理化に関する所要の措置、電気の需要の平準化に関する所要の措置※その他エネルギーの使用の合理化等を総合的に進めるために必要な措置を講ずることとし、もって国民経済の健全な発展に寄与すること」を目的としています。
参考:省エネ法の概要
1990年以降はエアコンの性能競争や価格競争が進み、続々と利便性の高いエアコンが開発されていきます。
さらには、省エネ基準も高くなり、気密断熱構造が進化した、現在の家づくりにつながっていくのです。
最新の冷暖房設備として輻射式冷暖房がおすすめ
今回紹介したように冷暖房設備は、進化を続けています。
進化を続けるなかで、省エネのようなエネルギーに関する問題もありました。
では、最新の冷暖房設備として求められるものがどんな条件になるかというと、「温かい」「涼しい」「省エネ」「身体に優しい」「便利」ではないでしょうか。
これらの条件を満たす冷暖房設備が、輻射式冷暖房といえます。
さらに、輻射式冷暖房の大きな特徴は、暖め過ぎず冷やし過ぎず、自然で快適な環境を作りだすことです。
歴史を一周して「人の求めるものが自然なものに近づいた」と言っても過言ではないでしょう。
このように輻射式冷暖房は、現代の冷暖房設備の利便性、人が快適だと思える自然な室温を感じられる、よいとこどりの製品と言えます。